猫のいる税理士事務所 河津牧子のブログ

猫のいる税理士事務所 河津牧子のブログ

土地建物の譲渡損失 マイホームの場合には損益通算して税金還付の場合もある②

calendar

reload

土地建物の譲渡損失 マイホームの場合には損益通算して税金還付の場合もある②

マイホームを譲渡した時の損益通算及び繰越控除の特例。

今回は②マイホームを買換えをしていない場合についての制度です。

スポンサーリンク

住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき(特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例)

制度の概要

住宅ローンのあるマイホームを住宅ローンの残高を下回る金額で売却して損失が生じたときは、一定の要件を満たすものに限り、その譲渡損失をその年の給与所得や事業所得など他の所得から控除することができます。
さらに損益通算を行っても控除しきれなかった譲渡損失は、譲渡の年の翌年以後3年内に繰り越して控除(繰越控除)することができます。

これらの特例は、前回取上げた特例と違って、新たなマイホームを取得しない場合であっても適用することができます。

損益通算できる譲渡損失額には限度がある

この制度は損益通算ができる譲渡損失額に限度があります。

限度額は、マイホームの売買契約日の前日における住宅ローンの残高から売却金額を差し引いた残りの金額です。

従って売却するマイホームに住宅ローンが残っていない場合や、残っている住宅ローンの残高が売却金額よりも少ない場合には、この規定の適用はありません。

一定の要件とは

譲渡するマイホームには下記の要件があります。

①自分が住んでいるマイホームを譲渡すること。以前に住んでいたマイホームの場合には、住まなくなった日から3年目の12月31日までに譲渡すること。
(注) 住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の3つの要件全てに当てはまることが必要です。
・その敷地は、家屋が取り壊された日の属する年の1月1日において所有期間が5年を超えるものであること。
・その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。
・家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

②譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超えるマイホーム(譲渡資産)で日本国内にあるものの譲渡であること。

譲渡したマイホームの売買契約日の前日において、そのマイホームに係る償還期間10年以上の住宅ローンの残高があること。

マイホームの売却金額が上記③の住宅ローンの残高を下回っていること。

※③及び④は買換えの場合と異なる点です。

特例の適用ができない場合

下記の場合には、特例の適用を受けることができません。

【損益通算及び繰越控除の両方が適用できない場合 】

①マイホームを譲渡する相手が、親子や配偶者、生計を一にする親族など特別な関係のある者である場合

②マイホームを譲渡した年の前年及び前々年に次の特例を適用している場合
・居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の軽減税率の特例(措法31の3)
・居住用財産の譲渡所得の3,000万円の特別控除(措法35。ただし同法第3項に規定する被相続人居住用家屋(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例を除く。)
・特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の2)
・特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の5)

③マイホームを売却した年の前年以前3年以内の年において生じた他のマイホームの譲渡損失の金額について、特定のマイホームの譲渡損失の損益通算の特例(この制度)を適用している場合

④マイホームを売却した年又はその年の前年以前3年内における資産の譲渡について、マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例(措法41の5第1項)の適用を受ける場合又は受けている場合

【繰越控除のみが適用できない場合 】

その年の合計所得金額が3,000万円を超える場合

特例の適用手続き

確定申告書には下記の書類を添付します。

【損益通算の場合】

①特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書(確定申告書付表)

②特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書(租税特別措置法第41条の5の2用)

③マイホームに係る登記事項証明書、売買契約書の写しなどで、譲渡資産の所有期間が5年を超えるものであることを明らかにするもの

④マイホームに係る住宅借入金等の残高証明書(売買契約日の前日のもの)

⑤譲渡契約日の前日において、住民票の住所とマイホームの所在地が異なる場合には、戸籍の附票の写しなどでの者がマイホームに居住していたことを明らかにするもの

【繰越控除の場合】

通算後譲渡損失の金額及びその金額の計算の基礎その他参考となるべき事項を記載した明細書

マイホームの譲渡損失申告 まずは申告ありき

確定申告義務のない給与所得者の方は、土地建物を売却して譲渡損失が生じたとしても、原則的には申告義務はありません。(譲渡益の場合には申告義務があります。)

しかし前回と今回で取り上げたようにマイホームを売却した時の損失が生じていいる場合には、他の所得と損失を通算できるわけですから、申告することににより合計所得金額が少なくなって、既に納めている所得税(源泉所得税)が還付される可能性があります。

まずは申告しないと還付はありませんので、損したからそのままでいいではなく、マイホームの特例の適用があるかどうかを確認してみましょう。

【編集後記】

今回のアイキャッチ画像は自分の売買契約書です。

ゆずは割と鈍感なので、こんなことをしてもあまり気にすることがなく。

最近は、無理矢理に猫を登場させることが多くて・・・困った時の猫だのみです。

 

 

 

 

 

 

 

この記事をシェアする

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。