繰延資産は本来費用となるものですが、その効果が将来にわたるため、収益と対応させるためにいったん資産に計上し、その効果が及ぶ期間にわたり費用計上していくものです。
この繰延資産を分割払いした場合には、一括で支払った時と異なる経理処理をすることがあります。
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原則は未払金計上できない
法人税法基本通達では
繰延資産となるべき費用の額を分割して支払うこととしている場合には、たとえその総額が確定しているときであっても、その総額を未払金に計上して償却することはできないものとする。
としています。
つまり総額50万円の繰延資産、支出の効果は3年のもを、分割払いした場合
繰延資産 500,000/ 未払金 500,000
と計上し、この総額50万円を基礎に償却計算をすることはできないということです。
ただし、この基本通達には続きがあり
ただし、その分割して支払う期間が短期間(おおむね3年以内)である場合には、この限りでない。
とされています。
従って、上記に例示した事例の分割払い期間がおおむね3年以内であれば、上記の仕訳のように総額を未払計上し、その総額を基礎に償却計算をすることが可能です。
短期間に該当しない場合は?
分割払い期間が短期間に該当しない場合には、支払済の繰延資産の累計額を基礎に毎期償却計算をすることになります。
[具体例]
繰延資産の総額:120万円
分割払い期間:4年
償却期間(支出の効果の及ぶ期間):3年
1年目
支出:300,000
繰延資産 300,000/ 現預金 300,000
繰延資産償却費:300,000×1/3=100,000
繰延資産償却費 100,000/ 繰延資産 100,000
繰延資産残高:300,000-100,000=200,000
2年目
支出:300,000
繰延資産 300,000/ 現預金 300,000
繰延資産償却費:600,000×1/3=200,000
繰延資産償却費 200,000/ 繰延資産 200,000
繰延資産残高:200,000(期首)+300,000-200,000=300,000
3年目
支出:300,000
繰延資産 300,000/ 現預金 300,000
繰延資産償却費:900,000×1/3=300,000
繰延資産償却費 300,000/ 繰延資産 300,000
繰延資産残高:300,000(期首)+300,000-300,000=300,000
4年目
支出:300,000
繰延資産 300,000/ 現預金 300,000
繰延資産償却費:1,200,000×1/3=400,000
繰延資産償却費 400,000/ 繰延資産 400,000
繰延資産残高:300,000(期首)+300,000-400,000=200,000
5年目
繰延資産償却費:1,200,000×1/3=400,000
400,000>200,000(期首残高) ∴200,000
繰延資産償却費 200,000/ 繰延資産 200,000
繰延資産残高:200,000(期首)-200,000=0
支払いは4年で終了していますが、繰延資産の残高が残っているため、償却計算のみ行います。
長期分割払い負担金の場合
法人が公共的施設又は共同的施設の設置又は改良に係る負担金で繰延資産となるべきものを支出した場合に、その負担金が次のいずれにも該当するものであるときは、その事業年度に負担金として支出した金額を、その事業年度の損金の額に算入することができます。
(1)その負担金の額が、その負担金に係る繰延資産の償却期間に相当する期間以上の期間にわたり分割して徴収されるものであること。
(2)その分割して徴収される負担金の額がおおむね均等額であること。
(3)その負担金の徴収が、おおむねその支出に係る施設の工事の着工後に開始されること。
この規定は公共的施設や共同的施設の負担金など、一分のもの限定されますが、要件に該当する場合には償却計算をせずに支出額=費用として処理をすることができます。
【編集後記】
大師公園にある大師プールの横を通りかかったところ、どうやら営業はしている様子。
しかし、気温が上がってもなかなか太陽が出ないせいなのか?泳いでいるのは大人の男性1人、監視員も1人。プール入り口の受付係の人は上を向いて爆睡していました(笑)
なんだか、のどかな風景でした。