猫のいる税理士事務所 河津牧子のブログ

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相続税はかからなくても、所得税がかかることはある

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相続の時には相続税はかからなかったのに、相続した不動産を売却したら所得税が結構かかったというのはよくあることです。

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相続した不動産を売却した時の取得費

相続税は基礎控除額が多い

相続税は、Ⓐ 被相続人が亡くなった時の財産の課税価格Ⓑ相続税の基礎控除額を上回った場合に、税額が生じる可能性があります。

この基礎控除額は「3,000万円+法定相続人の数×600万円」

他の税金と比べると基礎控除額自体が大きくなるので、土地や建物などの不動産を相続しても、相続税が生じないというケースも見受けられます。

相続した不動産を売却したら譲渡所得が生じることも

しかし相続税がかからないことに安心して、相続した不動産を売却したら、譲渡所得に対する所得税がとても高かったということも。

不動産の譲渡所得は、不動産の売却金額から購入した時の取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。

相続や贈与があった場合には、この取得費および取得をした日は引き継がれるのです。

したがって

①父Aが建てた住宅とその敷地を相続し、相続後にこれらの不動産を売却したBさんの場合
→取得費は父Aの住宅の建築費と敷地の購入金額、取得をした日は父Aがこれらの不動産を取得した日です。

さらに

②祖父Cが購入した土地と建物を母Dが相続、その後母Dの死亡によりこの土地と建物を相続したEさん
→取得費は祖父Cがこの土地と建物を購入した金額、取得をした日は祖父Cがこれらの不動産を取得した日です。

以上のようになります。

購入や建築から相当年月が経っている場合には要注意

このように相続により取得した不動産の場合には、最初の購入時までさかのぼって取得費を計算するのですが、これが何十年も前のことだと、購入した時の契約書など残っておらず購入金額などわからないということがほとんど。

このような時には、譲渡所得の取得費の特例を使って、取得費を売却金額の5%ととして計算します。つまり売却金額の95%が譲渡所得となりこれに対して所得税が課されるのです。

また稀に古い契約書が見つかっても、戦前や戦後すぐくらいの時期だと購入金額自体が安いため、契約書の金額にもとづいて譲渡所得を計算するよりも、5%の取得費の特例を使って計算をした方が所得税が安くなるという場合もあります。
相続が複数回続いたような不動産を譲渡する場合には、このようなケースも見られます。

相続した不動産を売却した時には税金の分をプールしておく

以上のようなことから、相続税はかからなかったのに、相続した不動産を売却したら所得税が結構かかってしまったということもおこるわけです。

さらに注意したいのは、6月頃に通知がくる住民税も譲渡所得に対する金額が含まれているということ。

不動産を売却し一旦入金があった後に、所得税の申告や住民税の納税通知があるので、最初から所得税と住民税がかかることを考慮して使い道を考えましょう。

【編集後記】

会社や事業所に特別徴収の通知が届き始めているようです。

これまで住民税の特別徴収に関する給与所得者異動届出書は、紙でしか提出したことがありませんでした。

今日初めて、eLTAXで電子申告に挑戦。JDLでは対応していなかったので、PCdeskを使用して無事終了。

給与支払報告書の提出を電子申告していたせいか、思ったより簡単に手続きできました。

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