自宅兼事務所でお仕事をされているフリーランスの方は多いと思います。
私もその一人。いよいよ確定申告の時期。
自宅にかかるお金はどれが必要経費になり、どれが必要経費にならないのかをまとめてみましょう。
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事業用割合を考えてみる
まず仕事用とプライベート用の割合を考えてみます。
所得税法上事業用割合を〇%にしなさいという規定はありません。どれだけ実態にあった事業用割合を説明できるかどうかです。
もっともわかりやすいのは面積比。この部屋だけが仕事用で、それ以外は全部プライベートだという場合には全体の面積に占める仕事部屋の面積の割合を事業用割合にするのがわかりやすいでしょう。
また時間で考えることもできます。例えば車などは1日10時間として考えた場合に、仕事で6時間使用しているなら事業用割合は60%となります。
面積や時間があいまいでわからに場合には、おおよそどれくらいが事業用かを考えて割合を決めていきましょう。
住宅にかかる支出
これは賃貸と持家でわけて考えてみます。
【賃貸の場合】
- 家賃
- 修繕費(借主負担のもののみ)
これらの支出額に事業用割合をかけて算出した金額が必要経費になります。
【持家の場合】
- 建物の減価償却費
- 固定資産税
- 修繕費
- 火災保険料
- 地震保険料
- 住宅借入金の利息
これらの金額に事業用割合をかけて算出した金額が必要経費になります。
持家の場合の注意点① 住宅借入金等告別控除
住宅借入金特別控除の適用要件に「床面積の1/2以上が居住用であること」というものがあります。
適用要件を満たさない場合には、住宅借入金特別控除の適用を受けられなくなってしまいますので、自宅兼事務所で住宅借入金等特別控除の適用も受けたい方は事業用割合が50%を超えないよう注意してください。
持家の場合の注意点② 建物を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却
脱サラをしてフリーランスの個人事業者となった方が、もともと所有していた自宅を開業に伴い自宅兼事務所にした場合では、減価償却費の計算が通常と異なります。
建物の取得価額全てが減価償却の対象となるわけではなく、これまで居住のみに使用してきた期間の減価の額の計算を行い、その減価の額を建物の取得価額から控除した金額を基礎として減価償却の計算を行います。
ちょっと難しいですが具体的に計算してみるとこのようになります。
【前提条件】
- 建物の取得価額 1,000万円
- 取得年月日 平成14年11月
- 法定耐用年数 鉄骨鉄筋コンクリート 47年
- 47年の旧定額法償却率 0.022
- 平成29年11月に業務に転用
【未償却残額相当額を求める】
未償却残額相当額は下記の算式で計算します。
「その資産の取得価額」-「業務の用に供されていなかった期間(※1)につきその資産の耐用年数の1.5倍に相当する年数(※2)で旧定額法に準じて計算した減価の額」=「未償却残額相当額」
(※1)業務の用に供されていなかった期間に係る年数に1年未満の端数があるときは、6月以上の端数は1年とし、6月に満たない端数は切り捨てます。
(※2)1.5 倍に相当する年数に1年未満の端数があるときは、1年未満の端数は切り捨てます。
実際の数字をあてはめてみます。
10,000,000-10,000,000×0.9×0.015(※3)×15年(居住用のみの期間)=7,975,000
(※3)47×1.5=70.5年→70年の場合の旧定額法償却率 0.015
【減価償却の計算をする】
10,000,000×0.9×0.022×2/12=33,000(最終的にはここに事業用割合をかけた金額が必要経費になります。)
※減価償却の計算も取得時の平成14年に合わせて旧定額法で行います。
【平成29年12月31日の未償却残高】
7,975,000-33,000=7,942,000
従って 7,942,000 を翌年以降減価償却していくことになります。
自家用車に関する支出
- 車の減価償却費
- 自動車保険料
- ガソリン代
- 駐車場代
- 車検代
- 整備代
これらのうち事業で使用した駐車料金はすべて必要経費でかまわないでしょう。(プライベートで使用した場合の駐車料金は必要経費にはなりません。)
それ以外のものは支出額に事業用割合をかけて算出した金額が必要経費になります。
水道光熱費
電気代、ガス代、水道代など
支出額に事業用割合をかけて計算した金額が必要経費になります。
通信費
電話代、プロバイダー料など
支出額に事業用割合をかけて計算した金額が必要経費になります。
飲食代
必要経費になりません。家事関連費です。
例外として、自宅で新作発表のパーティーをおこなった場合のケータリングなどは、事業関連性が明らかですので必要経費にすることができるでしょう。(あまり該当する場合はないと思いますが。)
迷ったら素直に考えてみる
事業用割合は迷うところも多いですが、必要経費を多くするためには?ではなくて普段の状況を素直に考えてみてください。
面積など基準にしている場合には、計算根拠を残しておくとよいと思います。
極端に高い事業用割合を使用して、その説明が実態に即していないと否認されたケースもあります。すんなり説明できて実態に即しているかを考えてみましょう。
【編集後記】
新年になると登場する干支のヘッドマークをつけた大師線の車両。
今年はなかなか見られなくて、ヘッドマークをつけている車両が減った?と思っていまいしたが、考えてみると私が毎日電車通勤をしなくなったから目にする回数が減っただけのことでした・・・
ようやく見られたので、記念に1枚撮りました。