猫のいる税理士事務所 河津牧子のブログ

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「保証金の償却」「敷引き」は返金されない部分

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建物を借りる時に契約時に支払う敷金や保証金は、解約時に返金されますが、契約の内容によっては最初から返金されない部分が定められているものもあります。

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契約書に明記されている

建物を借りる時に貸主に支払う「敷金」や「保証金」は、契約時に貸主に支払い、契約期間中は貸主が預かっているお金です。

解約時に家賃の滞納分や借主が支払うべき修繕費がかかった時は、その金額を差し引いて借主に返金されます。

預かって返すだけの取引なので、会計上も原則的には収益費用に関係のない取引です。

しかし契約によっては、「敷引き」もしくは「保証金の償却」という定めをしているものがあります。

敷金や保証金がある場合、契約書に必ずその定めが記載されていますが、その部分に「敷引き〇カ月分」や「保証金償却〇〇%」などの記載がある場合、この部分は最初から借主の取り分になり返金されないことが定められているのです。

要は礼金と同じということ。不動産取引の慣行でこのような契約を結ぶ場合があります。

経理処理は?

経理処理は、貸主側と借主側で、収益または費用に計上する時期が異なる場合もあります。

貸主側

貸主つまり大家さん側では、「敷引き」や「保証金の償却」の金額は契約日の収益の額に計上します。

借主側

借主つまり店子側の「敷引き」や「保証金の償却」の金額、これは税法上の繰延資産に該当します。

更新料や礼金と同じ取扱いになるので、原則は5年間で均等償却。ただし契約期間が5年未満の場合には、その契約期間で均等償却をして費用に計上していきます。

さらに税法上の繰延資産ですので、少額の場合には特例が適用できることがあります。「敷引き」や「保証金の償却」の金額が20万円未満の場合には、支払った日に全額費用に計上することも可能です。

消費税は?

建物の賃貸にかかるものですので、住宅の貸付なのか?住宅の貸付以外なのか?によって処理が分かれます。

契約が住宅の貸付の場合には、「敷引き」や「保証金の償却」も非課税の取扱い。契約が事務所や店舗など住宅の貸付以外の場合には、「敷引き」や「保証金の償却」も課税の取扱いとなります。

とにかく契約書ありき

契約書となると「わからない」「難しい」と思いがちですが、建物の賃貸契約書には月々の家賃から、敷金や礼金の有無、さらにはこのような「敷引き」や「保証金の償却」のことも全て記載されています。

たまに金額がこれらの金額が一覧表になっているような契約書もありますが、オーソドックスに第1条から文章で始まる形式のものも多くみられます。

実際に目を通してみると、専門知識がなくてはわからないというような難しい事項はあまりないのです。

建物の賃貸借は支払う金額も大きいですし、それが事業の経費になるのであれば損益に与える影響も大きくなります。

一通り目を通して、わからない箇所は仲介した不動産業者に確認してみるとよいでしょう。

【編集後記】

お笑い芸人の闇営業が話題になっていますが、あの某大手芸能事務所はタレントとの契約書がないのだとか!?!?

テレビで頻繁に見るビッグネームの人たちでさえ契約書がないと、ビックリ!!!としか言いようがありません。

それなりに大きな会社組織になっているようですから、法務部もあり顧問弁護士もいるだろうに・・・契約書は大事です。

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