個人事業でも会社でも起業をした場合には、これまでなかった消費税の納税が必要になります。
確か2年間は大丈夫なはず・・・まだ売上が少ないから関係ないはず・・・と何となく判断せず、起業をしたさいに消費税の納税義務というものを確認しておきましょう。
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納税義務者
消費税の納税義務者は、事業者と外国貨物を保税地域から引き取る者です。
国内取引
国内取引の場合には、事業者は、非課税取引を除き、事業として対価を得て行う資産の譲渡や貸付け、役務の提供について消費税の納税義務を負うことになっています。
事業者とは個人事業者と法人をいいます。
この場合の個人事業者は事業を行う個人で、不動産所得のみの者も含まれます。
また法人には株式会社等の営利法人、公共法人、公益法人等のほか人格のない社団等も法人とみなされていますので公共法人、公益法人等や人格のない社団等も課税資産の譲渡等を行う場合には納税義務者となります。
国や地方公共団体も事業者となり課税資産の譲渡等を行う限り納税義務者となります。
ただし消費税には免税点が設けられています。
輸入取引
輸入取引の納税義務者は、その輸入品を保税地域から引き取る者です。
したがって、事業者だけでなく給与所得者や家庭の主婦なども輸入品を保税地域から引き取った場合には、納税義務を負うことになります。
消費税法上は輸入取引についての免税の規定はありませんが、「輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律」により課税価格の合計額が1万円以下の物品の輸入については、その関税及び消費税が免税されます。
納税義務の免除
消費税では、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者は、納税の義務が免除されます。
基準期間の課税売上高
個人事業者
前々年の課税売上高が、基準期間の課税売上高です。
法人
原則として前々事業年度の課税売上高が、基準期間の課税売上高です。
基準期間が1年でない法人の場合は、1年相当に換算した金額により判定することとされています。具体的には、基準期間中の課税売上高を、基準期間に含まれる事業年度の月数で割った額に12を掛けて計算した金額により判定します。
(例)
第1期 2015.4.1~2016.3.31
第2期 2016.4.1~2017.3.31
第3期 2017.4.1~2017.9.30(決算期変更)
第4期 2017.10.1~2018.9.30
第5期 2018.10.1~2019.9.30★
第5期の基準期間の課税売上高は、2016.10.1~2017.9.30の間に開始する事業年度の課税売上高を12か月に換算した金額です。
従って第3期の課税売上高を第3期の月数6月で割って、12月をかけた金額が第5期の基準期間の課税売上高になり、この金額が1,000万円以下であるかどうかで納税義務の有無を判定します。
基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも納税義務ある場合
2013年1月1日以後に開始する課税期間については、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間における課税売上高が1,000万円を超えた場合、当課税期間から課税事業者となります。
なお、特定期間における1,000万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額により判定することもできます。(この課税売上高に代えて給与等支払額を用いて判定することについては、特に届出は必要ありません。)
個人事業者の特定期間
個人事業者の特定期間は、その課税期間の前年の1月から6月です。
この場合、開業が前年の3月であれば、前年の3月~6月の課税売上高(または給与等支払額)で判定します。
また前年の7月以降に開業した場合には特定期間がありませんので、判定不要です。
法人の特定期間
法人の特定期間は、前事業年度です。ただし前事業年度が1年に満たない法人は下記のように取扱います。
前事業年度が7カ月以上の場合
前事業年度開始の日以後6月の期間が特定期間になります。
ただし6月の期間の末日がその月の末日でない場合には、当該6月の期間の前月の末日までの期間となります。
(例)
第1期 2016.5.15~2017.3.31
第2期 2017.4.1~2018.3.31
この場合、第2期の特定期間は2016.5.15~2017.10.31の期間です。
前事業年度が7カ月以下の場合
特定期間はありません。従って判定不要です。
基準期間がない法人の特例
新たに設立された法人については基準期間が存在しないため、設立1期目及び2期目は原則として免税事業者となります。
しかし、その事業年度の基準期間がない法人のうち、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円以上である法人や特定新規設立法人については、その基準期間がない事業年度について納税義務を免除しないこととする特例が設けられています。
なお特定新規設立法人とは、2014年4月1日以後に設立した新規設立法人(その事業年度の基準期間がない法人で、その事業年度開始の日における資本金の額又は出資の金額が1,000万円未満の法人)のうち、次の、のいずれにも該当する法人です。
- その基準期間がない事業年度開始の日において、他の者により当該新規設立法人の株式等の50%超を直接又は間接に保有される場合など、他の者により当該新規設立法人が支配される一定の場合(特定要件)に該当すること。
- 上記の特定要件に該当するかどうかの判定の基礎となった他の者及び当該他の者と一定の特殊な関係にある法人のうちいずれかの者(判定対象者)の当該新規設立法人の当該事業年度の基準期間に相当する期間(基準期間相当期間)における課税売上高が5億円を超えていること。
届出類はお早めに
消費税の課税事業者に該当することになった場合には、「消費税課税事業者届出書」を税務署に提出します。
期限は特にありませんが、事由が生じた場合には速やかにという規定です。
たいてい基準期間の課税売上高が1,000万円を超えるようになると、税務署から「課税事業者届出書」の提出はお済ですか?という封書が届きますが、決算終了時には今後の納税義務の有無は判定できますので、早めに提出しましょう。
また簡易課税の適用を受けたいのであれば、この届出書は適用を受けたい課税期間開始の日の前日までに提出しなくてはなりません。
届出ひとつで計算が大きく変わることもあるので、ご注意を!
【編集後記】
夏の間はリビングにい草のラグをひいています。
買ってから大分たっており、とうとうボロボロになってきました。
一部がはげると、そこから広がり、糸まで出てきてしまい・・・
そろそろ冬用に取り換えるので、このい草ラグも今年でサヨナラです。とはいっても長い間活躍してくれました。