猫のいる税理士事務所 河津牧子のブログ

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青色申告が取り消される場合

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せっかく選択した青色申告ですが、一定の理由がある場合に取り消しという処分を受ける場合があります。

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法人と個人の違い

一定の帳簿をととのえ、その帳簿にもとづいて正しい申告を行うのが青色申告制度の趣旨です。

そのため青色申告を選択した場合には、申告上の特典がもうけられています。しかし青色申告を選択したにも関わらず、国税サイドからその取り消しをされる場合があります。

その理由は下記のような場合ですが、法人と個人で共通するものと共通しないものがあります。

青色申告が取り消される場合(法人と個人に共通するもの)

1.帳簿書類を提示しない場合

青色申告の要件である帳簿書類の備付け、記録又は保存とは、単に物理的に帳簿書類が存在することのみを意味するにとどまらず、これを税務職員に提示することを含まれます。したがって、税務調査に当たり帳簿書類の提示を求めたにもかかわらず正当な理由がなくその提示を拒否した場合には、青色申告の承認の取消事由に該当することになります。

2.税務署長の指示に従わない場合

帳簿書類の備付け、記録又は保存について、税務署長の指示に従わない場合には、青色申告の承認の取消事由に該当することになります。

3.隠ぺい、仮装等の場合

法人と個人それぞれ下記のような場合には、青色申告の承認の取り消し事由に該当します。

細かい要件は少し読みにくいのですが、誤りも含めた訂正額の合計のうち、仮装や隠ぺいなどの不正による金額が50%を超えた場合には、青色申告の承認の取り消しに該当するというイメージです。

また帳簿書類が不十分で推計による計算になってしまうときも、青色申告の承認の取り消し事由に該当します。

[法人]

イ 無申告のために所得金額の決定をした場合又は所得金額の更正をした場合において、その事業年度の当該決定又は更正後の所得金額(更正所得金額)のうち隠ぺい又は仮装の事実に基づく所得金額(不正所得金額)が、当該更正所得金額の50%に相当する金額を超えるとき(当該不正所得金額が500万円に満たないときを除く。)。

ロ 欠損金額を減額する更正をした場合において、その事業年度の当該更正により減少した部分の欠損金額(所得金額があることとなる更正の場合には、当該所得金額を加算した金額)のうち隠ぺい又は仮装の事実に基づく金額(不正欠損金額)が、当初の申告に係る欠損金額(所得金額があることとなる更正の場合には、当該所得金額を加算した金額)の50%に相当する金額を超えるとき(当該不正欠損金額が500万円に満たないときを除く。)。

ハ 帳簿書類への記載等が不十分である等のため、推計によらなければ適正な所得金額の計算ができないと認められる状況にある場合

[個人]

イ 決定又は更正をした場合において、当該決定又は更正後の所得金額(更正等に係る所得金額)のうち隠ぺい又は仮装の事実に基づく所得金額(不正事実に係る所得金額)が、当該更正等に係る所得金額の50%に相当する金額を超えるとき(当該不正事実に係る所得金額が 500万円に満たないときを除く。)

ロ 純損失の金額を減額する更正をした場合において、当該更正により減少した部分の純損失の金額(所得金額があることとなる更正の場合には、当該所得金額を加算した金額)のうち隠ぺい又は仮装の事実に基づく金額(不正事実に係る純損失の金額)が、当初の申告に係る純損失の金額(所得金額があることとなる更正の場合には、当該所得金額を加算した金額)の50%に相当する金額を超えるとき(当該不正事実に係る純損失の金額が 500万円に満たないときを除く。)

ハ 帳簿書類への記載等が不十分である等のため、推計によらなければ適正な所得金額の計算ができないと認められる状況にある場合

4.相当の事情がある場合

上記1~3に該当しない場合であっても、帳簿書類の記録の状況、申告書の提出状況等からみて青色申告の取消しをすることが相当と認めらる場合には所轄国税局長と協議の上その事案に応じた処理が行われます。

青色申告が取り消される場合(法人のみに規定されているもの)

下記の要件に関しては、法人の場合にのみ規定されています。

無申告又は期限後申告の場合

2事業年度連続して期限内に申告書の提出がない場合には青色申告の承認が取り消されます。この場合、当該2事業年度目の事業年度以後の事業年度について、その承認を取り消されることになります。

個人については期限後申告→青色申告の承認の取り消しはないが

個人には期限後申告が続いた場合について、青色申告の承認を取り消すという規定ありません。

しかし65万円の青色申告の特別控除は期限内申告書の場合のみです。

期限を過ぎたとたんに、いくら複式簿記で帳簿を整備して申告を行っても、青色申告の特別控除額は10万円になってしまいますので、ご注意を。

【編集後記】

12年前につくったティップネスの会員証が、とうとう割れてきてしまったので新しいものに変えてもらいました。

なんと顔写真なし。

スペースだけは空いているのですが、今発行されるもの顔写真がついていないそうです。

なんだか不良品のように見えますが、きちんと作動したので大丈夫です。

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