猫のいる税理士事務所 河津牧子のブログ

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給料を支払い始めたら 

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法人でも個人事業者でも、お給料の支払を始めると、それに伴う届出の提出、給与計算などの事務作業が発生します。

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①給料の支払いを決定したら

税務署への届出

他者に給料を支払い始めると、その法人または個人事業者は「給与支払事務所」を設置したことになります。

まずは税務署に下記の届出を提出します。

  • 給与支払事務所等の開設届出書・・・開設から1か月以内に所轄税務署へ
  • 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書(給与の支給人員が常時10人未満である場合のみ)・・・源泉所得税は原則として徴収した日の翌月10日が納期限となっていますが、この納付を年2回にまとめて納付できるという特例制度を受けるために行う手続です。提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。
  • 青色専従者給与に関する届出(個人事業者のみ)・・・青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後に開業した人や新たに専従者がいることとなった人は、その開業の日や専従者がいることとなった日から2月以内)に提出

法人の場合は、設立後3カ月以内に役員報酬を支払始める場合が多いですから、設立の時に給与関係の届出も提出した方がよいでしょう。

従業員から

給与支払をする従業員及び青色専従者から扶養控除申告書を提出してもらいます。

従業員が、他に給与の支払を受けている勤務先で扶養控除申告書を提出している場合には、必要ありません。

②給料計算をする

給与の金額、締日、支払日、支払方法などを定め、毎月の給与計算を行います。社会保険に加入する場合には、社会保険関係の事務手続きも同時進行で行う必要があります。

給与計算を給与ソフトを使用して行うかどうかは、支給する人数によると思います。人数がそれほど多くない場合には、エクセルで集計して給与明細を作成することも可能でしょう。

③源泉所得税をおさめる

法人や給与の支払をする個人事業者は源泉徴収義務者になりますので、給与から天引きした源泉所得得税及び復興特別所得税を、原則として、支払った月の翌月の10日までに国に納めなければなりません。

ただし「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出し、承認を受けた場合には、この納付を下記の年2回にまとめて納付することができます。

1月から6月までに源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税・・・7月10日
7月から12月までに源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税・・・翌年1月20日

また源泉徴収義務者の場合、税理士、弁護士、司法書士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度支払金額に応じた所得税及び復興特別所得税を差し引くことになっています。

この源泉税の納付、源泉所得税がゼロの場合でも源泉徴収税額がゼロという納付書を税務署に提出しなくてはなりません。(e-taxでの送信も可能です。)


④年末調整をおこなう

扶養控除申告書を提出している従業員及び青色専従者の1年分の給与について、年末調整の計算をおこない、その年の分の源泉徴収票を交付します。

また年末調整をしない従業員についても、年末調整未済の源泉徴収票を交付します。

年末調整を行う時に、またしても給与ソフトを使うか否かという問題にあたると思います。月々の給与計算だけならエクセルだけでもできそうですが、年末調整となると法改正などもからんでくるので考えものです。

給与ソフトの費用をかけたくない、もちろん年末調整を税理士に依頼するのもさけたい、というような方は、支給人員が少なければ、給与計算から年末調整までできる永久無料の給与ソフトもあるようです。

⑤給与支払報告書を市区町村に提出する

給与計算から年末調整までは、給与支払に関する業務として認識している方が多いと思います。

しかしまだ最後に給与支払報告書(源泉徴収票)を従業員及び青色専従者の住所地である市区町村に送付するという業務が残っています。

これは紙の給与支払報告書を郵送する場合には、結構面倒です。

1人につき市区町村提出用の給与支払報告書を2枚出力し、それを提出する市区町村ごとに分け、市区町村ごとの総括表という表紙をつけて郵送します。

ただの単純作業ですが、従業員が増えれば増えるほど作業時間はかかります。

この作業は地方税ポータルシステムのeLTAXでも行うことができるのです。電子申告にすると郵送に比べるてかなり時間が短縮できます。

ただしeLTAXの送信に対応している給与ソフトは、税理士事務所で使用しているようなメーカーだけで、数はあまり多くないようです。

ここまでで給与支払に関する1年分の作業は一通り完了することになります。青色専従者1人に給与を支払始めただけでも、これらの作業は必要になりますので、事務負担を考慮のうえでお給料の支払を検討しましょう。

【編集後記】

迷子になっていた実家の猫が見つかったそうです。

また実家には戻ってきていないのですが、とりあえず姿を確認できたらしく。とにかく元気でよかった。

随分と遠くまで行ったみたいです。

早く無事に戻ってきますように!


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