猫のいる税理士事務所 河津牧子のブログ

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これだけ違う 退職金と給料の税金

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これだけ違う 退職金と給料の税金

佐川前国税庁長官の退職金は4,999万円だとか。さすが官僚のトップともなると凄い金額ですね。

金額もさることながら、これは退職所得なので、給料として同じ金額をもらった場合に比べて税制上もかなり優遇されています。

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退職所得とは

退職所得とは、退職により勤務先から受ける退職手当などの所得をいいます。

社会保険制度などにより退職に基因して支給される一時金、適格退職年金契約に基づいて生命保険会社又は信託会社から受ける退職一時金なども退職所得とみなされます。
また、労働基準法の規定により支払われる解雇予告手当や退職した労働者が弁済を受ける未払賃金も退職所得に該当します。

退職所得控除額を控除し分離課税で税金を計算

退職金は長年の勤務に報いる給与として一時的に支払われるものであるため、退職所得控除をもうけ、他の所得と分離して課税し、税負担が軽くなるよう配慮されています。

課税される退職所得とは

課税される退職所得は原則として次の算式により計算します。

(退職手当等の総収入金額(※1)-退職所得控除額) × 1 / 2(※2) = 退職所得の金額

※1 源泉徴収される前の金額の金額です。

※2 役員等で勤務年数が5年以下の人が支払を受ける退職金については、
×1 / 2の適用はありません。

退職所得控除額とは

退職所得控除額は下記の勤続年数(※3)の区分に応じ、それぞれの算式で計算します。

①勤務年数20年以下

40万円 × 勤続年数
(80万円に満たない場合には、80万円)

②勤続年数20年超

800万円 + 70万円 × (勤続年数 – 20年)

※3 勤続年数に端数がある場合は1年に切り上げます。

佐川前国税庁長官の退職金 税金はいくら?

退職所得の所得税

佐川氏は1982年に大蔵省に入省されています。退職は2018年ですので、勤続年数は36年。実際に税金を計算してみると下記のようになります。

①退職所得の控除額

800万円+70万円×(36-20)=1,920万円

②課税される退職所得

(4,999万円-①)×1 / 2=1,539万5千円

③税額

他の所得とは合算しない分離課税のため、②の金額に所得税の税率をかけて税額を計算します。

1,539万5千円の場合は33%の税率になるため、税額は速算表から求めると下記の金額になります。

1,539万5千円×33%-153万6千円=3,544,350

同じ金額を給料でもらったとしたら税金はいくら?

同じ金額を給料でもらったとすると税金は下記のようになります。(比較のために基礎控除などの所得控除額は考慮せずに、給与所得のみという前提で計算します。)

①課税される給与所得

4,999万円-220万円=4,779万円

②税額

4,779万円だと税率は最高税率の45%になり、税額は速算表から求めると下記の金額になります。

4,779万円×45%-479万6千円=16,709,500

退職金として支給された場合に比べると、金額は約4.7倍でした。税制上どれだけ優遇されているかが、よくわかると思います。

勤務先で源泉徴収して確定申告不要に

実際に退職金の支払いを受ける場合は「退職所得の受給に関する申告書」という書類を勤務先に提出し、勤務先で退職所得分の税金の源泉徴収を行い退職金から天引きして納付することがほとんどです。

この手続きが行われていれば、退職所得について確定申告をする必要はありません。

【編集後記】

滝沢歌舞伎のチケットが届いたのですが、なんと最前列でした!!!

しかも花道にも近い!

楽しみです!!!

 

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