勤務先で退職金に対する源泉徴収が完了している場合でも、確定申告をすれば税金が還付される場合があります。
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勤務先での原則的な取り扱い
勤務先では退職金の支払い時に
- 「退職所得の受給に関する申告書」を記載してもらい
- 退職所得の金額に応じた所得税と復興特別所得税の源泉徴収を行い
- 源泉徴収後の金額を退職者に支給します
退職所得は他の所得と分離して所得税額を計算しますので、この時点で課税関係は終了し原則として確定申告は必要ありません。
所得控除額が残っている場合には源泉徴収済みの税金が還付される
退職所得は他の所得と通算することはできませんが、総合課税される所得金額から所得控除額を差し引いても、所得控除額が残っている場合には、この所得控除額を退職所得の金額から差し引くことができます。
結果として課税される退職所得の金額が少なくなり税金も少なくなるため、源泉徴収済の税金が還付されることになります。
計算例で検証
退職金支払時
退職太郎さん(2018年3月31日退職、勤続20年) 扶養親族 妻1人
勤務先での退職金の計算
①退職金総支給額 20,000,000
②退職所得控除額 400,000×20=8,000,000
③退職所得の金額 (20,000,000-8,000,000)×1/2=6,000,000
④源泉徴収税額 [所得税]6,000,000×20%-427,500=772,500
[復興特別所得税]772,500×2.1%=1,622
[合計] 788,722
3か月分の給料
①給料総支給額 500,000×3=1,500,000
②社会保険料控除額 75,776×3=227,328
③源泉徴収税額 15,230×3=45,690
年の中途で退職しているので年末調整は未済です。
確定申告書を作成してみます
退職金と給与以外に下記の金額をくわえます。
・退職後の国民健康保険支払額 500,000
・生命保険料控除額 100,000
まず第1表
総合所得に該当するものは給与所得3か月分のみです。したがって給与所得控除後の金額850,000が総合所得の金額の合計額です。
これにたいして所得から差し引かれる金額(所得控除額)は
・社会保険料控除
・生命保険料控除
・配偶者控除
・基礎控除
合計で1,587,328です。
総合所得の合計から所得控除額差し引いても、所得控除額が737,328あまってしまいます。
他に所得がなければ、このあまってしまった所得控除額は切り捨てられて終わりなのですが、このあまった所得控除額を退職所得の金額から差し引くことができます。
その計算が次の第3表。分離課税の所得がある場合に使用する帳票です。
9欄(赤)は総合所得の金額850,000で、これに対して所得控除額を差し引いた課税される所得金額が70欄(赤)0
さらに69欄(青)は退職所得の金額6,000,000で、これに対して残った所得控除額737,328を差異引いた金額が77欄(青)5,262,000です。(千円未満切捨て)
税金はこれらの金額に対して再計算されて、総合所得分が0、退職所得分が624,900となります。
そして再度第1表へ
第3表で計算された税額は所得税のみですので、これに2.1%をかけて復興特別所得税13,122を計算します。(41欄(緑))
これで退職太郎さんの2018年分の年税額638,022が算出されます。(42欄(緑))
上記の金額に対して、源泉徴収税額は退職金分と給与分を合わせて834,412ですので、196,390が還付されることになります。(45欄(緑))
退職金は確定申告が必要ないとして、給与だけで確定申告書を作成すると還付される税金は給与の源泉徴収税額45,690のみになってしまいます。
所得控除額の金額によっては、勤務先できちんと源泉徴収処理がされていても、還付税額が生じる場合がありますので、試算をしてみてください。
使用した計算例のように、給与と退職金だけなら国税庁の確定申告書作成コーナーで簡単に試算できます。
【編集後記】
ラゾーナ川崎がリニューアルしたら、キットカットのお店ができていました。
1本400円くらいのキットカットもあります。その他かわった味の詰め合わせも。
今年のバレンタインは迷うことなくこれで。(高くない方で・・・(笑))