4月から始まったテレビドラマ「花のに晴れ」を毎週楽しんで見ています。
今週は他人名義で学校へ5,000万円を寄付するというシーンが!元々漫画ですから極端な設定ですが、この場合課税関係はどうなるのでしょうか?
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概要をまとめると
舞台は資産家の子女が集まる英徳学園。主人公の江戸川音は父の会社が倒産した後も、「隠れ庶民」として学園に通い続けている。
昨日の第4話は、とうとうこの「隠れ庶民」ということが知られてしまい、学校へ寄付をしない生徒は退学をと迫られる。
そこへ彼女の婚約者馳天馬が現れて、英徳学園に5,000万円を江戸川音名義で寄付し、ギリギリのことろで彼女を救うという内容。
内容設定の極端さはさておき、まずここで①江戸川音がこれを承諾した場合、馳天馬から江戸川音へ5,000万円の贈与があったとみなされます。そして②江戸川音が英徳学園に5,000万円の寄付をするいう2つの行為が認められます。
それぞれの課税関係は?
5,000万円を用意した馳天馬
馳天馬はこの5,000万円を自分で運用してつくったお金と言っていました。従って譲渡所得もしくは雑所得ではないかと考えられます。
そしてその5,000万円を江戸川音へ贈与する。この贈与した金額は特に何かの経費になることはありませんし、もちろん寄付金控除の対象になるものでもありません。
従って、馳天馬は5,000万円の運用益部分にたいする所得税が発生するとともに、贈与した5,000万円はキャッシュアウトすることにになります。
自分名義で5,000万円を寄付された江戸川音
これはあくまで、江戸川音がすべてを承諾しているという前提です。
贈与は、贈与者(馳天馬)の贈与しますという意思表示と、受贈者(江戸川音)のもらいますという意思表示があってはじめて成立するものですので。
贈与税
もちろんですが江戸川音には5,000万円の贈与をうけたことに対する贈与税が発生します。
そして直系尊属からの贈与ではないため、一般贈与財産です。
贈与税は
(5,000万円-110万円(基礎控除額)-400万円)×55%=24,695,000円
贈与税率も最高税率になるので、贈与税も高額です。
所得税
寄付の5,000万円は学校法人に対する寄付なので寄付金控除の対象になります。
寄付金控除は税額控除もしくは所得控除のどちらかを選択することができます。
- 所得控除の場合
寄付金の合計額から2,000円を差し引いた金額(49,998,000円)が総所得金額から控除できます。
- 税額控除の場合
寄付金の合計額から2,000円を差し引いた金額の40%相当額(19,999,200)円を所得税額から控除できます。(ただし所得税額の25%が限度)
ただし主人公の江戸川音はアルバイトで家計を支える高校生です。その設定では年間の所得金額も所得税額もさほど多いものではないと予想できますので、寄付金控除の効果はあまりないだろうと思われます。贈与税の負担をおぎなえるほどではないでしょう。
寄付を受けた英徳学園
学校法人は法人税法上公益法人等とされ、利益を追求する一般の法人と違い、一定の収益事業にのみ課税されます。
受取った寄付金はが学校法人会計では寄付金収入とされ、原則的には収益事業に該当せず法人税の課税対象にはなりません。
また消費税に関しても、対価性が認められないため、課税の対象外とされます。
まとめ
どう考えてもフィクションの中でしかあり得ない設定ですが、学校が一番得をするということです。
この設定を思いつく作者がすごいですね。
【編集後記】
このドラマで主人公の相手役をつとめる平野紫耀くん。
関西ジャニーズジュニアの頃からよく見てました。
本棚をあさってみたら、関西ジャニーズジュニア時代のコンサートのパンフレットが出てきました(笑)