平成30年3月31日に平成30年度の税制改正法案が成立し、同日公布されました。
電子化を促進するための規定も含まれており、特定法人は今後電子申告が義務化され、年末調整手続きも一部電子化されます。
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特定法人の電子申告義務化
特定法人は、法人税・消費税・法人住民税・法人事業税の申告書及び添付書類の提出について、電子申告が義務化されます。
特定法人が電子申告をせず、書面で申告書を提出した場合には無申告として取り扱われます。
上記の規定は電子回線の故障、災害そのたやむを得ない事情により電子申告を行うことが困難な場合には、税務署長の承認を受けて、例外的に書面で申告書を提出することが認められています。
特定法人とは?
事業年度開始の時の資本金の額が1億円を超える法人です。
適用はいつから?
平成32年4月1日以後に開始する事業年度より適用されます。
義務化なのでさけられない
法人の申告書は税理士関与で電信申告を行っているところが大半なのではないかと思うのですが、たまに代表者の方のこだわりで頑なに書面申告を貫いている会社もありました。
今回の改正は義務化です。事業年度開始時の資本金が要件を満たしていれば、やむを得ない事情がない限り、必ず電子申告を行わなければなりません。
この義務化というのが中小企業者や個人にまで及ぶことはゆくゆくあるのでしょうか?
申告書の代表者及び経理責任者等の自署押印は廃止に
これまでは書面で申告書を作成した場合に、代表者当の自署押印が必要でしたが、平成30年4月からこの制度は廃止されることになりました。
実際にはこれまでも罰則などがなかったので、印字やゴム印の押印で済ませていた会社も多かったと思いますが・・・これからは堂々と印字やゴム印でOKです。
年末調整手続きも電子化
これまで年末調整のさいに証明書を添付していた下記の書類が電子提出可能となります。
電子提出可能になる書類とは?
- 生命保険料控除証明書
- 地震保険料控除証明書
- 住宅ローン控除申告書
上記3つの書類が電子提出可能になります。
適用はいつから?
平成32年10月1日以降に提出する保険料控除申告書及び住宅ローン控除申告書から適用されます。
データ送付の流れはどうなる?
生命保険料、地震保険料の場合
①保険会社
↓
②給与所得者
↓
③源泉徴収義務者(勤務先)
という流れです。これまで●●保険料控除証明書に記載されていた内容がデータで保険会社から送付され、そのデータを勤務先へ送信するという流れになります。
住宅ローン控除の場合
①税務署 ①金融機関
↓ ↓
②給与所得者
↓
③源泉徴収義務者(勤務先)
住宅ローン控除の場合には、これまで税務署から送付された「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」と借入金年末残高証明書を勤務先へ提出していました。
この書類が電子化になると、税務署から「給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書」兼「年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書」に関するデータ、金融機関から借入金年末残高証明書のデータが送付され、これらのデータを勤務先へ送信するという流れになります。
セキュリティ対策やデータの保存にはより一層の注意が必要
年末調整手続きが電子化されるようると、書類は減り業務も効率化するでしょう。
ただし第三者、給与所得者、勤務先とデータの授受が行われるため、運用までにはセキュリティ対策や、データの送信方法や保存方法など、それぞれの会社ごとの運用方法に関する細かい取り決めが必要です。
【編集後記】
私も独立してからは、できるだけペーパーレスにしています。
書類もPDFなどのデータでいただけるものはデータで。お客様から書類でお預かりしても自分ではスキャンしてPCに保存します。
契約書などの一部書類以外は大分データにすることができました。そのかわりバックアップは入念に行っています。