退職金は退職した労働者に支払われる金銭ですが、名目が「退職金」となっていなくても退職所得に該当するものがあります。
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退職給与規定
そもそも退職金は給与や賃金と違い、労働者を雇用した事業主が必ず支払わなければならないものではありません。
退職金制度をもうけている場合には必ず支払わなければならないのですが、退職給与規定をもうけるか否かは雇用する側の自由です。
従って中小企業では退職給与規定自体がなく、退職金の支払いがない場合も多く見受けられます。
このように通常は規定に基づき金銭で支給される退職金ですが、名前が違っていたり金銭の支払いではない場合でも、所得税法上は退職所得となるものもあります。
解雇予告手当
解雇予告手当は労働基準法の定めによるものです。
使用者は、労働者を解雇しようとする場合には、少なくとも30日前にその予告をしなければなりません。30日前に予告をしない場合には30日分以上の平均賃金を支払わなくてはならないとされています。
できればもらう方にも支払う方にもなりたくないものですが、業績不振で人員を削減しなくてはならない時など、やむを得ない場合もあります。
この解雇予告手当は「手当」という名前ですが、退職を起因として支払われるものですので、退職所得に該当します。
従って、給与として支払を受けるよりも、税額が少なくなる可能性があります。
会社が掛けている生命保険契約
会社が、役員や従業員を被保険者、保険金受取人を会社として生命保険契約を加入している場合がよくあります。
通常は退職時に解約をして、解約返戻金を退職金支払いの原資とします。
しかし本人の希望により契約者を退職する役員または従業員に変更する場合には、「保険契約に関する権利」が退職所得となります。
この場合「保険契約に関する権利」は退職時に契約を解約した場合に支払われることとなる「解約返戻金の額」です。
退職所得の受給に関する申告書
退職金は、支払いの際に「退職所得の受給に関する申告書」を提出している人については、退職金の支払者が退職所得の金額に応じた源泉徴収税額を計算し納付を行うため、原則として確定申告は必要ありません。
「退職所得の受給に関する申告書」の提出がなかった人については、退職金の支払金額の20.42%の源泉徴収がされるのみです。
この20.42%の源泉徴収税額は退職所得の金額に応じた源泉徴収税額よりも多いことがほとんどですので、退職者は確定申告をして過払いの源泉徴収税額を還付してもらう必要があります。
通常の退職でしたら、退職手続きの一環で「退職所得の受給に関する申告書」をもらっていると思われますが、解雇などで従業員と顔を合わせづらい場合でも事業主側で「退職所得の受給に関する申告書」を用意をしてあげた方が最後はきれいに終われるのではないかな?と思います。
【編集後記】
先日マルチメディア研修で使用した内容を再度確認したくて、PDFのテキストを開きました。
しかしここを確認したいのよ!というページになかなかたどりつけない・・・
そのファイルのせいなのか???「Ctrl+F」のワード検索もできず・・・紙の研修のテキストもたまってしまうと、いらないものを処分するのが面倒ではあるのですが、こういう時はやはり紙の方が良いのか?とまた少し紙を見直しました。