西日本豪雨の被害を受けた方に、お見舞いを申し上げます。
本日7月10日は源泉所得税の納付期限ですが、このような災害の場合、申請をすることで申告や納付の期限を延長できます。
スポンサーリンク
災害等による期限の延長
災害により申告や納税を期限までにできないときは、所轄税務署長に申請し、その承認を受けることにより、その理由のやんだ日から2か月以内の範囲でその期限の延長を受けられる場合があります。
この手続きは期限の経過した後でも行うことができます。
状況が落ち着いてからで大丈夫ですので、所轄の税務署に「災害による申告、納付等の期限延長申請」を行ってください。
この申請が承認されれば、納期限がその理由がやんだ日から2か月延長されますので、原則7月10日が納付期限の源泉所得税も延長された期限内に納付を行えば、延滞税・不納付加算税などの付帯税が発生することもありません。
平成30年分の確定申告のさいには税金が軽減される場合も
災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、確定申告で雑損控除もしくは災害減免法に定める税金の軽減免除のどちらか有利な方法を選ぶことによって、「所得税及び復興特別所得税」の全部または一部を軽減できる場合があります。
雑損控除
災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。
雑損控除の対象になる資産の要件
損害を受けた資産が次のいずれにも当てはまることが要件となります。
- 資産の所有者が次のいずれかであること。
イ 納税者
ロ 納税者と生計を一にする配偶者やその他の親族で、その年の総所得金額等が38万円以下の者。 - 棚卸資産若しくは事業用固定資産等又は「生活に通常必要でない資産」のいずれにも該当しない資産であること。
損害の原因
損害の原因は、次のいずれかの場合に限られます。
- 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
- 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
- 害虫などの生物による異常な災害
- 盗難
- 横領
※詐欺や恐喝の場合には、雑損控除は受けられません。
雑損控除の金額
(1)差引損失額を計算する
差引損失額=損害金額+災害等に関連したやむを得ない支出の金額ー保険金などにより補てんされる金額
※1.「損害金額」とは、損害を受けた時の直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害の額です。 損害を受けた資産が減価償却資産である場合には、その資産の取得価額から減価償却費累積額相当額を控除した金額を基礎として損害金額を計算することができます。
※2.「災害等に関連したやむを得ない支出の金額」とは、「災害関連支出の金額」に加え、盗難や横領により損害を受けた資産の原状回復のために支出した金額をいいます。
※3.「保険金などにより補てんされる金額」とは、災害などに関して受け取った保険金や損害賠償金などの金額です。
(2)雑損控除の金額
雑損控除の金額は、次の二つのうちいずれか多い方の金額です。
①(差引損失額)ー(総所得金額等)×10%
②(差引損失額のうち災害関連支出の金額)ー5万円
※1.損失額が大きくてその年の所得金額から控除しきれない場合には、翌年以後(3年間が限度)に繰り越して、各年の所得金額から控除することができます。
なお、雑損控除は他の所得控除に先だって控除することとなっています。
※2.「災害関連支出の金額」とは、災害により滅失した住宅、家財などを取壊し又は除去するために支出した金額などです。
適用を受けるための手続き
確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付するか、提示します。
災害減免法による所得税の軽減免除
災害によって受けた住宅や家財の損害金額(保険金などにより補てんされる金額を除きます。)がその時価の2分の1以上で、かつ、災害にあった年の所得金額の合計額が1000万円以下のときにおいて、その災害による損失額について雑損控除を受けない場合は、災害減免法によりその年の所得税が次のように軽減されるか又は免除されます。
災害減免法により軽減又は免除される所得税の額
所得金額の合計額 | 軽減又は免除される所得税の額 |
500万円以下 | 所得税の額の全額 |
500万円を超え750万円以下 | 所得税の額の2分の1 |
750万円を超え1000万円以下 | 所得税の額の4分の1 |
適用を受けるための手続き
確定申告書等に適用を受ける旨、被害の状況及び損害金額を記載して、確定申告書等を提出します。
罹災証明書を申請する
雑損控除や災害減免法による所得税の軽減免除を受けるさいに、被害状況を示す書類として「罹災証明書」の添付をおすすめします。
添付必須の書類ではありませんが、被害状況を証明する書類として有効なものです。
既に被災地では今回の西日本豪雨に関する罹災証明書の申請受付が始まっているようです。
【編集後記】
そういえば東日本大震災の時は、3月15日の申告期限直前でした。
もちろん申告期限を延長できる措置はありましたが、東京の事務所でしたので、通勤電車の本数制限や節電などがありつつも期限内に申告を済ませたことを思い出しました。