家賃は前月末までに翌月分を支払うのが一般的です。
これを発生月に合わせて費用にすることも、一定の要件のもとに支払時に費用にすることも認められています。
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前払費用というもの
前払費用とは、一定の契約に基づいて継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうち、その事業年度終了の時においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいいます。
前払費用は、原則として、支出した時に資産に計上し、役務の提供を受けた時に費用として処理をします。
と何だか堅苦しい言い方ですが、家賃の支払いをイメージしてみてください。
賃貸契約では、当月分の家賃は前月末までに支払う契約になっているので、前月末に毎月支払いをします。しかし原則的にはその支払った金額は翌月の経費です。
従って、支払時は「前払費用」という資産の科目で処理をして、翌月にその「前払費用」という資産を「地代家賃」などの費用科目に振替えます。
まずはこれが原則的取り扱いです。
短期前払費用の特例
短期前払費用とは
短期前払費用とは、前払費用のうち、その支払った日から1年以内に役務の提供を受けるものです。
これも簡単に言うと、契約に基づき支払った前払費用は翌月以降分ですが、この翌月以降が1年以内のものが短期前払費用です。
従って月払いの家賃や保険料、年払い契約でもこれに該当するものはあります。
支払った時の費用とすることができる
前払費用の額で
- 支払った日から1年以内に役務の提供を受けるものを支払った
- その金額を継続して支払った日に費用として処理している
このような場合には、前払費用の原則的処理に関わらず、支払った時に費用として処理することが認められています。
ただしここには要注意
これは原則的処理な処理を行っても、特例の処理を行っても、継続的に処理を行えば当期の損益にさほど差異が生じないという観点から、法人税基本通達で定められているものです。
従って原則的処理と特例の処理を頻繁に変更し、利益操作を行うことは認められません。会計方針の変更で処理方法をかえることがあったとしても、その後は同一の処理を継続しなくてはなりません。
質疑応答の照会事例
国税庁の質疑応答事例に5つのケースが照会されています。
事例1:期間40年の土地賃借に係る賃料について、毎月月末に翌月分の地代月額1,000,000円を支払う。
事例2:期間20年の土地賃借に係る賃料について、毎年、地代年額(4月から翌年3月)241,620円を3月末に前払により支払う。
事例3:期間2年(延長可能)のオフィスビルフロアの賃借に係る賃料について、毎月月末に翌月分の家賃月額611,417円を支払う。
事例4:期間4年のシステム装置のリース料について、12ケ月分(4月から翌年3月)379,425円を3月下旬に支払う。
事例5:期間10年の建物賃借に係る賃料について、毎年、家賃年額(4月から翌年3月)1,000,000円を2月に前払により支払う。
この事例ですが、1~4については、短期前払費用の特例の処理をすることが認められます。
5については認められません。
何故か?4月から翌年3月分の家賃を2月に支払っています。従って支払った時点で翌月以降1年以内分の短期前払費用には該当していません。
利益が出そうだからとくかく支払いをして経費にしてしまおうという安易な考えができないようになっているわけです。
【編集後記】
MicrosoftのSurface Pro を買いました。
12.3インチで、この小さいサイズは初めてです。
勤務していた頃は、デスクトップ、マウス、テンキーがないと仕事にならないと思い込んでいましたが、今では持ち運びできるサイズの方が必需品だと実感し、購入しました。
まだ慣れていないところもあるのですが、今日の記事は新しいSurface Pro で書いてみました。