少額の減価償却資産には通常の減価償却以外に特例的に認められている償却方法があります。
10万円未満、20万円未満、30万円未満で適用できる方法をまとめてみます。
スポンサーリンク
10万円未満のもの
まずは法人税法施行令133条又は所得税法施行令138条の規定です。
使用可能期間が1年未満である減価償却資産もしくは取得価額が10万円未満の減価償却資産を取得した場合、その取得価額全額を費用に計上したときは、その金額を法人の損金の額に算入又は個人の必要経費の額に算入することができます。
これは「できる」規定です。10万円未満の減価償却資産を取得した場合に、必ずその取得価額全額を費用計上しなければならないというのではなく、法人又は個人が取得価額全額を費用計上した場合にはこれを認めるという趣旨です。
20万円未満のもの
そして上記の規定の次に規定されている、いわゆる「一括償却資産」とよばれるものです。
法人税法施行令133条の2又は所得税法施行令139条の規定です。
取得価額が20万円未満の減価償却資産を取得した場合には、その取得価額に36分の12を乗じた金額を、費用に計上することができます。
つまり取得価額を3年間で均等に費用計上するわけです。通常の減価償却計算で行う月割計算は、この一括償却資産の場合には行いません。
30万円未満のもの
30万円未満の減価償却資産を取得した場合に利用できる制度「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」というものです。
これは上記の2つの規定と違って、租税特別措置法67条の5(法人)又は28条の2(個人)により規定されています。
適用対象者が限定されている
この規定の適用を受けられるのは、青色申告書を提出している中小企業者である法人又は個人です。
中小企業者とは次に掲げる者をいいます。
- 資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人
ただし、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人及び同一の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の2分の1以上を所有されている法人及び2以上の大規模法人に発行済株式又は出資の総数又は総額の3分の2以上を所有されている法人を除きます。 - 常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人又は個人
取得価額全額を費用に計上するが、限度額あり
中小企業者が取得価額が30万円未満の減価償却資産を取得した場合に、その取得価額全額を費用に計上したときは、その金額を法人の損金の額に算入又は個人の必要経費の額に算入することができます。
ただし1事業年度の取得価額の合計額が300万円までという限度額があります。
適用要件あり
この規定の適用を受ける場合には、法人、個人、それぞれ適用要件があります。
法人
確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書(別表16(7))を添付して申告することが必要です。
個人
確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付することが必要です。
ただし、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に次の事項を記載して確定申告書に添付して提出し、かつ、当該少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管することにより適用を受けることができます。
- 少額減価償却資産の取得価額の合計額
- 少額減価償却資産について租税特別措置法第28条の2を適用する旨
- 少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管している旨
青色決算書はこのように記載します↓
複数の選択肢から償却方法を選ぶ
紹介した3つの特例は、選択肢のひとつです。もちろんこの特例によらず通常の減価償却方法を選択することもできます。
- 10万円未満の場合は
①通常の減価償却 ②取得価額全額を費用に計上(法人税法施行令もしくは所得税法施行令によるもの) ③取得価額3年間で均等に費用計上 - 20万円未満の場合は
①通常の減価償却 ②取得価額3年間で均等に費用計上 ③取得価額全額を費用に計上(中小企業者に該当する場合のみ、限度額あり) - 30万円未満の場合は
①通常の減価償却 ②取得価額全額を費用に計上(中小企業者に該当する場合のみ、限度額あり)
このように選択できる方法は複数ありますので、決算の方向性などを考慮して、最適な方法を選ぶ必要があります。
【編集後記】
LINEで平和島温泉のアンケートに答えたら、入館割引券をもらいました。
公式アカウントを追加すると通知が多くてうっとおしい時もありますが、こういうものがもらえるのでついつい追加してしまいます。
サウナとスパでたっぷり満喫できました。