消費税の非課税取引の最初に列挙されている土地の貸付け、似たように見えますが駐車場の貸付けは課税取引になる場合が多いです。
駐車場の貸付けに関する課税か非課税かの問題は、国税不服審判所に審査請求が持ち込まれた事例でもありました。
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条文根拠は?
消費税法の規定
消費税法第6条では非課税について定めています。
これによると土地の譲渡や貸付けは、消費税の課税の対象になりません。
消費税法施行令で補足がされている
ただし消費税法施行令第8条で土地の貸付けから除外される場合という事項が規定されています。
それによると
- 土地の貸付けに係る期間が一月に満たない場合
- 駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合
以上の場合は土地の貸付から除外されます。
つまり上記の場合には消費税法第6条で定めている非課税取引には該当せず、課税取引とされるということです。
駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用されるとは?
駐車場用に地面の整備(アスファルト舗装など)又はフェンス、区画、建物の設置等をしている場合です。
従って非課税取引となるのは、土地を更地で貸付けている状態と同じような場合のみになります。
街中でよく目にする月極駐車場やコインパーキングを考えてみると、アスファルト舗装をし区画を整理しているところがほとんどだと思います。
こういった場合には、消費税法上は非課税取引には該当せず、課税取引となるわけです。
国税不服審判所に持ち込まれた事例
実際に、この駐車場の貸付けが課税か非課税かで国税不服審判所に持ち込まれた事例があります。
請求人の所有していた駐車場の状態
請求人の所有する駐車場は下記のような状態で、非課税取引と判断し消費税の申告をしていなかったことろ、課税庁から消費税の決定処分を受けました。
- 利用者の利便を考えロープ等で区画を区分している。
- 一部水溜りができないように土や砂利を敷いてある箇所がある。
- アスファルト舗装をしておらず、また、料金徴収設備、建物及び屋根などもなく、一般常識的に施設といわれるものは一切ない。
国税不服審判所の判断
- 消費税法施行令第8条の趣旨及び消費税法基本通達6-1-5の(注)1の定めからは、駐車場施設として土地が使用される場合に、請求人が主張するような「アスファルト舗装、料金徴収設備、建物及び屋根」などの施設の利用も伴ってはじめて課税対象の取引としたものとまでは解さない。
- 請求人は、車両を駐車させるという目的で本件各駐車場を貸し付け、少なくとも砂利を敷くなどして駐車場としての用途に応じる地面の整備をしている。
少しわかりにくい言い回しですが、原告は「アスファルト舗装、料金徴収設備、建物及び屋根」などの施設の利用も伴ってはじめて課税対象の取引だと主張しましたが、国税不服審判所は、この条文はそこまでのことを言っているわけではないと判断しています。
そして原告は駐車場貸付のために砂利をしくなどの整備をしている。
従ってその駐車場の貸付けは、「駐車場その他の施設の利用に伴って土地が使用される場合」に該当するとされ、この駐車場の貸付けは課税取引と判断されました。
駐車場の賃貸はほぼ課税取引と考える
上記の国税不服審判所の判断から見ても、よく目にする駐車場は、ほぼ課税取引になると思われます。
駐車場貸付のために何かを整備していたら、「施設の利用に伴って~」と判断され課税取引となるのです。
所有はしているが何も手入れをしていない土地を駐車場として他人に賃貸している、都心ではなかなかありませんが、いわゆる青空駐車場というものでなければ非課税にはなりません。
駐車場貸付けによる不動産収入があり消費税を納めていない場合は、その取引が非課税取引だからではなく、基準期間(個人は前々年、法人は前々期)の課税売上高が1,000万円以下である免税事業者だから消費税を納めていない場合がほとんどです。
賃貸物件が増えて、基準期間の課税売上が1,000万円を超えるようになると、消費税の申告は必要になってきますので、注意が必要です。
【編集後記】
画像はティップネス国領の駐車場です。
このような駐車場はもちろん消費税の課税取引です。
がしかし、ここ1か月弱ゲートが壊れたまま、開きっぱなしになっています。駐車料金はフリーです。
というわけで「無償による資産の貸付け」となり、課税の対象ではありません。