猫のいる税理士事務所 河津牧子のブログ

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そもそも消費税の課税の対象って?

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そもそも消費税の課税の対象って?

今後増税予定の消費税。多くの人がほぼ毎日接している税金です。

普段の生活では消費税のかからない取引もあります。これも消費税法上の取扱いを見てみると「課税対象外」だったり「非課税」だったり「免税」だったりと様々。

消費税が課税されるおおもとの大原則を確認してみます。

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課税の対象という原則

消費税の課税の対象は消費税法4条に定められています。

その概要は「国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等及び外国貨物の引取りには消費税を課する。」ということです。

国内取引と外国貨物の引取り(輸入)を大きく2つに区分して、それぞれに非課税や免税が定められています。

国内取引

国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡等には消費税が課されます。

事業者が事業として行う取引とは

まず「事業者」とは、個人事業者(事業を行う個人)と法人をいいます。

そして「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡等を繰り返し、継続、かつ、独立して行うことをいいます。

したがって、個人の中古車販売業者が行う中古車の売買は事業として行う売買になりますが、給与所得者がたまたま自分の自家用車を手放す行為などは、事業として行う売買にはなりません。

なお、法人は事業を行う目的で設立されたものなので、その活動はすべて事業となります。

対価を得て行う取引とは

「対価を得て行う」とは、物品の販売などをして反対給付を受けることをいいます。要は対価性があるかどうかという点がポイントです。

したがって、寄附金や補助金などは対価性がないので、課税の対象とはなりません。また、無償の取引や宝くじの賞金なども原則として課税の対象になりません。

資産の譲渡等とは

「資産の譲渡等」とは、事業として有償で行われる商品や製品などの販売、資産の貸付け及びサービスの提供をいいます。

外国貨物の引取り(輸入)

「外国貨物の引取り」については、保税地域から引き取られる外国貨物が課税対象となります。
この場合、引き取る者が事業者であるかどうかは問いませんので、事業者も一般消費者も納税義務者になります。

課税の対象となる国内取引を、課税、非課税、免税、に区分する

まずはその国内取引が「①事業者が事業として行う②対価を得て行う③資産の譲渡等である」かを確認し、要件を満たしているものが「課税の対象」となります。
その「課税の対象」となるもののうち限定列挙で非課税とされる取引以外は課税取引となります。
そして課税取引のうち輸出取引に該当するものが0%課税ということで免税となります。

非課税

消費税法では、課税の対象にはなるけれども、消費に負担を求める税としての性格から課税の対象としてなじまないものや社会政策的配慮から、非課税取引を限定列挙で定めています。非課税取引は下記のとおりです。

(1) 土地の譲渡及び貸付け(借地権などの土地の上に存する権利を含みますが、1か月未満の土地の貸付け及び駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税取引には当たりません。)
(2) 有価証券等の譲渡(株式・出資・預託の形態によるゴルフ会員権などの譲渡は非課税取引には当たりません。)
(3) 支払手段の譲渡(注)(銀行券、政府紙幣、小額紙幣、硬貨、小切手、約束手形などの譲渡をいうが、これらを収集品として譲渡する場合は非課税取引には当たりません。)
(注) 平成29年7月1日以後、資金決済に関する法律第2条第5項に規定する仮想通貨の譲渡は非課税となります。
(4) 預貯金の利子及び保険料を対価とする役務の提供等
(5) 日本郵便株式会社などが行う郵便切手類の譲渡、印紙の売渡し場所における印紙の譲渡及び地方公共団体などが行う証紙の譲渡
(6) 商品券、プリペイドカードなどの物品切手等の譲渡
(7) 国等が行う一定の事務に係る役務の提供(登記、登録、特許、免許、許可、検査、検定、試験、証明、公文書の交付など)
(8) 外国為替業務に係る役務の提供
(9) 社会保険医療の給付等
(10) 介護保険サービスの提供
(11) 社会福祉事業等によるサービスの提供
(12) 助産
(13) 火葬料や埋葬料を対価とする役務の提供
(14) 一定の身体障害者用物品の譲渡や貸付け
(15) 学校教育
(16) 教科用図書の譲渡
(17) 住宅の貸付け(契約において人の居住の用に供することが明らかなものに限られます。ただし、1か月未満の貸付けなどは非課税取引には当たりません。)

免税

事業者が国内で商品などを販売する場合には、原則として消費税がかかりますが、販売が輸出取引に当たる場合には、消費税が免除されます。これは、内国消費税である消費税は外国で消費されるものには課税しないという考えに基づくものです。

この場合の輸出取引とは、商品の輸出や国際輸送、国際電話、国際郵便などをいいます。なお、輸出免税を受けるためには、資産の譲渡等が輸出取引となることについて、その輸出取引等の区分に応じて一定の証明が必要です。

輸出取引は計算上は消費税がかからないため非課税や課税対象外のものと混同されやすいのですが、消費税法上は0%の課税という取扱いです。
消費税の計算をする場合に、総売上のうち課税売上の占める割合(課税売上割合)を必ず計算しますが、この課税売上には免税売上も含まれることになります。

課税

課税の対象となるもののうち、非課税には該当せず、輸出取引でもないものは全て課税となります。

外国貨物の引取りの非課税、免税

外国貨物の引取り(輸入取引)は全て課税の対象ですが、このなかにも非課税と免税があります。

非課税

保税地域から引き取られる外国貨物のうち、下記のものには消費税が課されません。

(1) 有価証券等
(2) 郵便切手類
(3) 印紙
(4) 証紙
(5) 物品切手等
(6) 身体障害者用物品
(7) 教科用図書

免税

課税価格の合計額が1万円以下の物品の輸入については、その消費税が免税されます。

これは「輸入品に対する内国消費税の徴収等に関する法律」という消費税法とは別の法律で規定されています。

普段のレシートや領収書を見返してみる

普段のレシートや領収書を見ると、この非課税や免税の規定がきちんと表れています。

郵便局で購入したした切手のレシートには消費税はかかっていませんし(非課税)、携帯電話の請求明細を見ると国際電話には消費税はかかっていません(免税)。

私達のような専門職や税理士試験の受験生でないと、あまり意識することではないのですが、ちょっと基本的な仕組みを理解してみるのも面白いものですよ。

【編集後記】

課税→ペンケース 非課税→郵便切手 と並べたのですが

免税がさっと見つかりませんでした。

国際派ではないので、免税品もなく、国際電話の通話記録なども皆無で・・・

バランスが悪いですが2種類だけ並べました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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