先日、東京の化粧品会社が消費税の不正還付を受けていたというニュースがありました。
不正ではなくても、実際正当に消費税が還付される場合はあります。
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多段階課税という課税の方法
消費税は多段課税という仕組みで課税されています。
そもそも物やサービスの消費が行われることに着目して課税されるているため、消費税の実質的な負担者は消費者ですが、納税義務者は事業者(法人、個人事業者)です。
消費者は、物やサービスの対価とともに消費税を事業者に支払います。事業者は消費者から預かった消費税から、事業者自身が支払った消費税を差し引いて税務署に納めます。
さらに事業者の支払った消費税は別の事業者が預かり、その事業者も自身が支払った消費税を差し引いて納付をするというように、多段階で課税されていきます。
つまり事業者が申告納付している消費税は預かった税金というわけです。
仕入れ税額控除
実際に事業者が納める消費税は原則として
①売上げた時に預かった消費税(売上に係る消費税)ー②仕入れや経費にかかった消費税(仕入れに係る消費税)
で計算します。(簡易課税制度の適用を受ける場合は異なる計算方法になります。)
②の仕入れにかかる消費税は、仕入れや経費のうち消費税のかかっているものだけですので、人件費や社会保険料などは含まれません。従って人件費や社会保険料などが多く赤字になっている事業者でも、消費税は納税となる場合がほとんどです。
消費税が還付される場合とは?
上記の「①売上にかかる消費税ー②仕入れに係る消費税」がマイナスになれば、納付がマイナスですから還付ということになります。還付はこのような場合が考えられます。
高額な設備投資を行った場合
「②仕入れにかかる消費税」には建物や機械などの高額な設備投資も含まれます。
会計上は減価償却の計算をするため一事業年度で全額経費になることのない高額な設備投資も、消費税の仕入れ税額の計算には全額含めることができます。
この場合は一時的に「②仕入れにかかる消費税」が高額になり「①売上に係る消費税」を上回り、還付が生じることがあります。
予定納税額が多い場合
事業者は前年度の消費税額によって、事業年度の中途で消費税を先払いしておかなければなりません。これは法人税にも所得税にもある予定納税という制度です。
支払い金額は前事業年度の2分の1、4分の1、12分の1と、前事業年度の年税額によって異なります。
事業年度末の確定申告のさいには、年税額から既に納めた予定納税額を差し引いて確定納付税額を計算するため、年税額から予定納税額を差し引いてマイナスになった場合には、その分が還付されます。
輸出が多い場合
輸出取引の場合には、外国で消費されるものには課税しないという考えに基づき、消費税は免税となります。
従って国内で仕入れた商品を海外へ輸出している事業者などは、「①売上にかかる消費税」が少なくなり(完全に輸出のみの場合はゼロ)、そこから「②仕入れにかかる消費税」を差し引くと、やはり納付額がマイナスになり還付が生じることが多くなります。
報道されていた化粧品会社はこのシステムを利用して不正に還付を受けていたようです。架空の仕入れを計上し、それを輸出したかのように申告していたと。
2億6000万円の不正還付だそうですが、これは消費税の部分の金額です。8%で割り戻すと
260,000,00÷8%=3,250,000,000
32億5000万円分の書類を偽造したということですね・・・
税務署も還付する前に見抜けなかったとは・・・
【編集後記】
以前からソファーのすみで爪とぎをされ、ボロボロになっていたのですが、最近さらにひどくなり・・・
毎日どこかにソファーの中身のスポンジが転がっています。
15年経つので買換えれば良いのですが、どうせまたボロボロになるので、どうするか迷っています。