自治体側の計算間違いで、個人事業税が還付されたという話を耳にしました。
そうそうあることではないのですが、返金された還付金はどのように取り扱うべきなのかを考えてみました。
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個人事業税は地方自治体が計算して賦課するもの
個人事業税は、個人が営む下記の業種にかかる税金です。
[対象業種]
[税額]
{収入金額-必要経費-専従者給与(控除)の額+青色申告特別控除額 -各種控除額(※) }×税率=税額
※事業主控除(年間290万円)と繰越控除があります。
税額は上記の算式により計算されますが、実際には所得税の確定申告書を提出すると、その情報をもとに地方自治体が税額を計算し、個人宛に税額の記載された納付書が送付されてきます。
何故還付が生じたのか?
個人事業税は対象業種によって税率が異なるのですが、自治体側がこの税率を実際とは異なる業種で計算しており、税金を徴収し過ぎていたそうです。
そこで誤りに気付いた自治体が徴収し過ぎた税金を還付してきたということです。
そのような間違いがあるのですね。納付書が届いたら、金額だけでなく計算明細も確認しないといけないようです。
他の判例から処理を考えてみる
支払った時
個人事業税は、事業所得の計算をするさいに必要経費となります。
従って、納め過ぎていた個人事業税は過年度の事業所得を計算するさいに必要経費に計上済です。
それではこの戻ってきた事業税の還付金は、過年度にさかのぼって必要経費の金額を変更し修正申告するのか?それとも還付された年度の収入金額とするのか?
固定資産税の判例から
事業用の固定資産に課される固定資産税は、個人事業税と同じように事業所得の計算をするさいに必要経費となります。
この固定資産税の還付について、国税不服審判所に持ち込まれた案件がありました。
課税側の評価の誤りにより、過年度分の固定資産税の過払い分が還付されたというケースです。
納税者側は過年度にさかのぼって必要経費の固定資産税の金額を修正することを主張しましたが、税務当局がこれを認めず審査請求となったそうです。
この件につき国税不服審判所は「還付金の支払請求権は誤納金還付・充当通知書により確定したものとみるのが相当」として、還付された年度の収入金額にすべきものとの判断をしています。
上記の判例を準用すると、今回の個人事業税の還付についても、還付が決定した年度の収入金額として処理をするべきだろうと考えられます。
【編集後記】
先週から確定申告電話相談センターの相談員をしており、3月15日までの間に数回横浜中税務署で業務を行う予定。
この近くはマリンタワーもあり、海も見えて、雰囲気はよいのですが、安くて美味しいランチのお店がありません。
ランチと検索すると中華街しか出てこない。マリンタワーのレストランでゆったり食事をするほどの時間はない。あきらめてコンビニにするしかないか???迷っています。