会社のロゴやロゴマークを作成して、これを商標登録することがあります。減価償却の対象にもなる商標権の取得価額にはどういった費用が含まれるのでしょうか?
スポンサーリンク
税法上は無形減価償却資産
知的財産権のひとつである商標権は、税法上は無形減価償却資産に分類されます。
形はないけれども、その費用の支出の効果が及ぶ年数にわたり、減価償却費として費用化していきます。
商標権の法定耐用年数は10年。償却方法は定額法。有形減価償却資産のように備忘価額というものはありません。
従って、商標権の取得価額が50万円の場合には
50万円×0.1(10年の場合の定額法償却率)=5万円
※月割計算は考慮していません。
この金額をその事業年度の減価償却費として、10年間費用に計上していきます。
取得価額は?
原則的な考え方
商標権の取得価額は、原則的には、その制作から取得までにかかった費用の合計金額です。
具体的には
- デザイン料
- 商標調査料
- 出願時手数料
- 出願時印紙代
- 登録手数料
- 登録時印紙代
などが挙げられます。
取得価額に含めなくてもよいもの
ただし、法人税法基本通達の規定で、つぎに掲げる租税公課などは、減価償却資産の取得価額に含めなくてもよいことになっています。
イ 不動産取得税又は自動車取得税
ロ 特別土地保有税のうち土地の取得に対して課されるもの
ハ 新増設に係る事業所税
ニ 登録免許税その他登記又は登録のために要する費用
イ~ハについては商標権の登録には発生しませんが、ハの登録免許税その他登記又は登録のために要する費用については該当するものがあります。
上記に具体例を挙げた費用のうち
5.登録手数料と6.登録時印紙代は、取得価額に含めなくてよい「登録免許税その他登記又は登録のために要する費用」です。
また3.出願時手数料と4.出願時印紙代も、実務的には取得価額に含めなくてよい「登録免許税その他登記又は登録のために要する費用」に準じて処理しても差し支えないと考えられています。
取得価額が算出できたら減価償却の方法を決める
商標権の出願から登録までは、一定の時間がかかります。
登録できたか?できなかったか?で商標権として資産計上するか否かもかわってきますので、登録の有無が判明するまでは一連の費用は仮払金などに計上して、登録の有無が判明した後に経理方法を決定するのがよいでしょう。
商標権の取得価額が決まったら、その金額により、
①全額その事業年度の損金とする(10万円以下の場合)
②一括償却資産に計上し3年間で均等償却する(20万円以下の場合)
③全額その事業年度の損金とする(青色申告者である中小企業者で、取得価額が30万円以下の場合)
④10年間で定額法により償却する
上記の方法から償却方法を選定します。
もし万が一、商標権の取得に失敗した場合には、それは失敗した事業年度の損失の額として、損金の額に算入されます。
【編集後記】
洗濯物を洗濯機に入れ、洗剤を入れ、フタをしめる。
何故かこれだけで大丈夫だと思ってしまい、数時間後にフタをあけて干そうとすると洗濯物がぬれていない・・・
当たり前です。スタートのスイッチを押してないのだから・・・残念。何故もっと早くに気づかない!?