猫のいる税理士事務所 河津牧子のブログ

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不動産賃貸でも事業所得になることがある

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賃貸住宅やアパート経営あるいは駐車場賃貸など、不動産賃貸に係る所得は通常不動産所得として申告をします。

ただし賃貸している物件が多く、事業として行われていると認められる場合には事業所得になることがあります。

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5棟10室という基準

不動産の貸付けが事業として行われているかどうかについては、原則として社会通念上事業的規模で行われているか どうかによって、実質的に判断します。

ただし、建物の貸付けについては、次のいずれかの形式基準に当てはまれば、原則として事業として行われているものとして取り扱われます。

(1)マンションやアパートについては、貸与することのできる独立した室数がおおむね10室以上であること

(2)戸建て住宅の貸付けについては、おおむね5棟以上であること

こんな場合はどう判断する?

月極駐車場を賃貸している

駐車場の場合は、駐車スペース5台分を1部屋に換算して判定します。

従って駐車場50台分はマンション10室分となるので、事業的規模と判定されます。

戸建て住宅もマンションも駐車場も賃貸している

上記の形式基準をまとめると、戸建て住宅を「1」とした場合、マンション・アパートなどの貸室は「2」、駐車場は「10」として換算されています。

賃貸不動産の種類が異なる場合には、比率をかけて換算してみましょう。

[例]戸建て住宅2棟、マンション6室、駐車場30台の場合

マンション6室=戸建て住宅3棟 駐車場30台=戸建て住宅3棟

となるため合計すると戸建て住宅8棟分となり、事業的規模ということになります。

共有で所有している

共有で賃貸不動産を所有している場合であっても、事業的規模の形式基準の判定は賃貸不動産全体で行います。

共有持ち分を乗じて判定する必要はありません。

一括借り上げにしている

最近のアパート経営で多くみられる一括借り上げ。各部屋ごとの居住者と直接契約を結ぶのではなく、不動産会社がアパートやマンションを一括で借り上げ、各居住者へ転貸するというスタイルです。

この場合、賃貸不動産の契約は不動産会社との間の建物1棟に係る賃貸借契約になりますが、事業的規模かどうかの判定基準は1棟ではなく、そのアパートやマンションの部屋数で行います。

事業的規模になると税務上はここが違う

不動産賃貸が事業的規模と判断されると、単に不動産所得として計算する時と比べて、下記のような違いがあります。

資産損失の処理

賃貸用固定資産の取壊し、除却などの資産損失については、不動産の貸付けが事業として行われている場合は、その全額を必要経費に算入しますが、それ以外の場合は、その年分の資産損失を差し引く前の不動産所得の金額を限度として必要経費に算入されます。

賃貸料等の回収不能

賃貸料等の回収不能による貸倒損失については、不動産貸付けが事業として行われている場合は、回収不能となった年分の必要経費に算入しますが、それ以外の場合は、収入に計上した年分までさかのぼって、その回収不能に対応する所得がなかったものとして、所得金額の計算をやり直します。

青色申告の特典

  • 青色申告の事業専従者給与は、不動産貸付けが事業として行われている場合は適用がありますが、それ以外の場合には適用がありません。(白色申告の事業専従者控除についても同様)
  • 青色申告特別控除については、不動産貸付けが事業として行われている場合は、正規の簿記の原則による記帳をおこなうなどの一定の要件を満たすことにより最高65万円が控除を適用できますが、それ以外の場合は最高10万円となります。

【編集後記】

水曜日に急遽お台場に行ってしまったため、スケジュールが全て後ろ倒しになり、2日間ほどブログ更新が日付を超えてしまいました・・・

急なスケジュール変更にも耐えられるようなスケジューリングをしてこなかったツケです。

ようやくブログ更新のペースが元に戻りました。気を付けなくては。

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