猫のいる税理士事務所 河津牧子のブログ

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支払調書は現金主義?確定申告は発生主義?

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個人事業者が確定申告を行う時には、取引先の会社からもらった支払調書を参考にすることが多いと思います。

この支払調書の金額が、自分でまとめている収入金額と合わないと悩まれる方もいるのではないでしょうか?

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支払調書

支払調書とは事業者が一定の支払いをした時に、その支払金額の明細を記載して税務署に提出する書類です。

会社側は毎年1月末までに、作成した支払調書を法定調書合計表という書類とともに税務署に提出します。このタイミングで支払先である個人にも発送するのが一般的です。

報酬、料金、契約金および賞金の支払調書

記載事項は?

これがフリーランスで働いている方の多くが受け取ることの多い「報酬、料金、契約金および賞金の支払調書」です。

記載事項は

①支払いを受ける者→支払先である個人の氏名・住所
②区分及び細目→報酬の種類
③支払金額→1年間に支払った金額(源泉税控除前)
④源泉所得税→③について源泉徴収した源泉所得税
⑤支払者→会社(事業者)の名称・住所

です。(マイナンバーは個人に交付されるものについては記載されません。)

記載されている金額は?

ここに記載されている金額は、支払者側からみてその年の1月~12月までに支払ったものの合計額及びその金額について源泉徴収した源泉所得税の合計額です(現金主義)。

これに対して、個人事業者が所得税の確定申告の時に売上として申告するのは、その年の1月~12月までに請求の確定した金額の合計額です(発生主義)。

[例]
翻訳業をしているAさんは、B社との契約で月末締め翌月末払いで報酬を受け取っている。

B社からもらった2018年の支払調書の金額→2018年1月~12月の間に支払われた分(2017年12月~2018年11月までの請求分)

Aさんが確定申告のさいに売上として申告する金額→2018年2月~2019年1月の間に支払われた分(2018年1月~2018年12月までの請求分

参考資料として

上記のように支払調書の金額と、自身の1年分の請求合計額とがずれているということはよくあることで、間違えではないのです。

また会社によって、現金主義で作成していたり、発生主義で作成していたりとバラつきがあることもあります。

正直なところ、会社が作成する支払調書は「給与所得の源泉徴収票」ほど正確な書類ではありません。

したがって個人の確定申告のさいには、まず自分が作成している請求書の金額を合計することです。支払調書との差額が集計時期の差だとわかるところまで確認できれば十分です。

確定申告した売上額と支払調書の金額が違っているので税務署から指摘を受けないか?と心配される方もいますが、ご自身の売上の集計を請求書などにもとづき発生主義できちんと行っているのであれば、支払調書の金額と違っていても問題はありません。

すべて会社任せで自分では何も作成していない・・・

こんな個人事業者の方も中にはいるかもしれません。

月毎に会社側が請求書や支払通知書を作成してくれているなら、その書類は申告の際に必要ですから大切に保管しておきましょう。

そんな書類があるかどうかもわからない方は、せめてご自身の毎月の入金分が、いつ仕事をした分の入金なのか?くらいは確認しておきましょう。つまり請求の締めと支払日は把握しておくことです。

  • 月末締めで当月末払い
  • 月末締めで翌月末払い
  • 仕事が完了するたびに請求し、請求後1月以内の支払い

など、これは個人と会社の契約により様々です。

とにかく所得税の確定申告で必要な売上の金額は、その年に仕事が完了した分(請求が確定した分)です。

支払調書の金額に悩みすぎないよう、普段から売上を管理しておけば、申告もスムーズに行えます。

【編集後記】

風邪をひいて6日目です。

高熱ではないので、普通にブログも書き仕事もしていますが、体のだるさが鬱陶しいですね。

喉→鼻水→咳の順番で、現在咳です・・・

風邪をひいてから、予防の大切さが身にしみる・・・手洗いはしていましたが、うがいも大事ですね。気を付けます。

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