個人で事業を始めたばかりの人にはややハードルの高い65万円の青色申告控除。しかし所得税の節税だけでなく、住民税や国民健康保険の減額にもつながります。
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65万円の青色申告控除
適用を受けるための要件
65万円の青色申告控除を受けるための要件は
- 不動産所得(事業的規模のものに限られます)または事業所得を生ずべき事業を営んでいること。
- これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること。
- 上記の記帳に基づいて作成した貸借対照表及び損益計算書を確定申告書に添付し、この控除の適用を受ける金額を記載して、法定申告期限内に提出すること。
ハードルが高い要因は
65万円控除のハードルが高いのは、複式簿記の処理とそれにもとづく貸借対照表の作成にあります。
簿記の知識があれば問題はないのですが、そうでない方には複式簿記という言葉だけで敬遠してしまう場合も多いようです。
収支だけを集計するまでは何とかできても、複式簿記で処理をするには簿記を勉強しなくてはいけないのか?会計ソフトを使用しなくてはいけないのか?色々考えているうちに本業が忙しくなり結局10万円の青色申告控除にしてしまうこともあるでしょう。
確かに10万円の青色申告控除に比べると、多少の勉強や準備は必要です。それは否めません。しかしそれなりに節税効果もあるし、帳簿が理解できるようになるということ自体が、事業を進めていく上で必ずプラスに働くものです。
税金から国民健康保険まで
所得税と住民税
65万円の青色申告控除があるということは、課税の対象となる金額が65万円少ないということです。
従って65万円の青色申告控除がある場合とない場合では、65万円に税率をかけた金額だけ税金が安くなるわけです。
所得税の場合だと超過累進税率ですので、課税される所得金額により安くなる税金の金額も変わります。
- 税率5%の場合→650,000×5%=32,500円
- 税率10%の場合→650,000×10%=65,000円
- 税率20%の場合→650,000×20%=130,000円
- 税率23%の場合→650,000×23%=149,500円
- 税率33%の場合→650,000×33%=214,500円
- 税率40%の場合→650,000×40%=260,000円
- 税率45%の場合→650,000×45%=292,500円
住民税の場合には、税率は一定で都道府県民税と市町村民税あわせて10%です。
従って65万円の10%、つまり住民税は65,000円安くなります。
国民健康保険
忘れがちなのが国民健康保険。この計算にも青色申告控除の金額が影響します。国民健康保険の金額を計算するさいに事業所得の場合には青色申告控除の金額も考慮されます。
国民健康保険の料率は市区町村により異なりますが、川崎市の場合、医療分6.94%+支援分2.46%+介護分2.11%=合計で11.51%です。
従って青色申告控除があると、65万円の11.51%、国民健康保険料は74,815円安くなります。
税率が低いからと思っても
まだ事業を開始したばかりで所得の金額も少なく税率も低いからと思ってしまうこともあるかもしれませんが、所得税のほか住民税や国民健康保険まで合わせると、所得税率が5%の場合でも172,500円の節税になります。
さらに所得の金額が増えてきて税率が上がってきた場合には、節税効果も大きくなります。
早いうちから65万円控除のために帳簿をづけをしておくと、事業が拡大して納税額も増えてきた時に65万円の青色申告控除の効果が出てきますよ。
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仕事中の飲み物はコーヒーが中心ですが、たまに甘い飲み物がが欲しくなります。粉にお湯を注ぐだけのこのチャイはとても便利。
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